| 1996年12月 (064〜067回) |
観察窓に大型アメマス 模様替えに大忙し
このところの観察窓には白い斑点を持った大型のアメマスが十数匹姿を現しています。普通アメマスというのは細長いスマートな形をしているのですが、窓から見えるアメマスは実に健康的です。彼らならこの冬の越冬は大丈夫。しかし、あのお腹、産卵は終わっているはずだから卵ではないだろうし。何を食べているのだろう。
サケも少なくなり彼らの天下が少しは続きそうです。
12月から休館に入り、いよいよ館内の整備が本格的に始まりました。初日は企画展示物の撤収。
「撤収」というとパタパタと終わりそうですが、苦労して作ったパネルや展示物は何とかきれいに取り外して、何かの機会にまた使いたいと思うのが人情です。設置するときはそんなことを考える余裕はありません。外れないように、倒れないように両面テープやボンドをふんだんに使います。撤収は「作業効率」と「人情」のぶつかり合いです。
夏の企画展示の時、慌てていたのでしょう、壁にがっちり両面テープでパネルを張ってしまいました。パネルをとるか壁をとるか。私は社会通念どおり断腸の思いでパネルを壊しました。
今回はすべて吊ったのですが、今度は骨組みの木とパネルです。館長お気に入りのパネルが無惨な姿となりました。「まずい」。今度こそは悲しむことのない設置をしなければいけないと堅く心に誓った初日でした。
(主任学芸員 遊佐 清明)
まだサケがそ上中 観察窓で自然産卵に感動
千歳川では今、ちょっと面白いことがおこっています。例年11月末で撤去される水車がまだ稼働しており、この時期になっても、まだかなりのサケがそ上しているのです。しかもそのサケたちは、観察窓の前あちこちで産卵行動を繰り広げてくれているのです。
先々週の「サモン君便り」にもありましたが、地下水のわき出ていないふるさと館の前辺りで産卵が行われるのは、非常に珍しいことです。体をS字にくねらせて必死に産卵床を掘るメスや、そのそばで、メスをめぐって激しく噛みつき合う数匹のオス。産卵場所を探して川底に鼻先を近づけ、あたかもクンクンと臭いをかぐメスの姿なども見受けられます。めったにない機会なので夢中になって観察していると、突然1匹のオスが尾ビレで川底を掘りました。しばらくして、もう1回。気紛れではないようです。本来メスの役割である穴掘りをオスがするとは、一体どういう訳なのでしょう。人間社会同様サケの世界も男女平等、オスだって巣作りの一つもできなきゃというのでしょうか。実はこの行動「埋め戻し」ともいわれ、周りに自分以外のオスが多いとき、メスが掘った産卵床に砂利を戻して、産卵のタイミングを遅らせようとしているのです。そうして他のオスを追っ払う時間をつくり、安心して産卵に臨むのです。
最近ではなかなか見られなくなった一連の自然産卵行動は、本当に感動的であり、いつまで見ていても飽きないものでした。できるなら、ぜひ産卵の瞬間にも立ち会ってみたいものです。
(学芸員 菊池 基弘)
産卵でなわばり争い 雌ザケが必死に“床”守る
千歳川のインディアン水車は、16日に今年の稼働を終えました。サケ捕獲数は33万尾で、過去5年間の平均と同じでした。
先々週から観察窓で見られるサケの産卵行動は、激しさを増してきました。4m四方ぐらいの狭い中に、メス4尾、それぞれ産卵床を作っていたのです。
メスをめぐってオスが争い、勝った者がメスとペアになります。ペアの中に侵入してきたオスは、激しく追い払われます。
このような争いはオスだけかと思っていたのですが、実際にはメス同士でも見られました。自分の産卵床に、すぐ隣で産卵床を作っているメスが侵入してきたら、まるで獣のように口をカッと開けて追い払います。時には本当に噛みつき、ぶつかった音がこちらにも聞こえてきます。そして産卵が近くなると、ますます気が荒くなり、近くを通ったヤマメやウグイといった小魚も追い払っていました。
この自然産卵をどうにか記録したいと思い、カメラを片手に何時間も待ったりしていたのですが、なかなか産卵はしてくれません。そこで8ミリビデオを借りてきて、観察窓のすぐ前で産卵床を作り出したペアを、13日の朝から撮影し始めました。
撮影から3日目の15日、12時40分頃、ようやく産卵をしました。それはほんの数秒間、テレビなどで何度と見たシーンと同じでした。しかし、直に見れなかったので、感動は今1つでした。
今後観察窓前での産卵は、行われるかどうかは分かりません。でも機会があれば今度こそ見よう、と思う今日この頃です。
(学芸員 荒金 利佳)
水質バランスが大切 環境に敏感な魚たち
今年も残すところあと4日となりました。千歳川はインディアン水車(捕魚車)が撤去されて寂しい感じがしますが、水車は来年夏の稼働まで、ふるさと館横の保管庫で見ることができます。シーズン中は橋の上からしか見ることができませんでしたが、間近で実物を見ることができます。この水車、実は意外に大きいことに驚きます。もっとも、動いている部分が見えるのは水の上の半分だけなので、当然といえば当然なのですが、水車全体を見ることで「なるほどこうやって獲るのか」などと、あらためて先人の知恵に感心してしまいます。
【お魚一口メモ】
ふるさと館で飼育している魚の中で「水質」にうるさい魚は実はコイ、フナ、モツゴ、ナマズなどいわゆる「雑魚」といわれる種類です。棲んでいるところが濁っているので、きれいな水ならば、さぞ気持ちよく泳ぐだろうと思いきや、水カビで白くなったり、調子を落とす魚が多くでます。傷を付けないよう、水温が急変しないよう気をつけても出てきます。ある種の土中細菌はサケ科のウィルス性の病気を抑えるという研究発表があります。何事もバランスなのかもしれません。抑えるものがないと、水カビなどは一気に増えるのでしょう。
「雑魚」を飼うときには採集した場所の水を少し入れてあげると調子がいいようです。 「清水に魚棲まず」ですが、サケの仲間は別ですので、念のため。
(主任学芸員 遊佐 清明)
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