前の月へ 2001年 4月
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4月 6日 (第281回)

長寿のエゾサンショウウオ  何年生きるか楽しみ

 4月に入り、海へ旅立つサケ稚魚の数が増えてきました。先日からその中にづんぐりとした赤黒い体のサクラマス稚魚(ヤマメ)が観察されだしました。まだ一匹程度ですが、サケの集団の中で元気に泳いでいます。
 前回に続き、当館の長寿の生き物をご紹介します。今回はエゾサンショウウオです。当館がオープンした平成6年の冬に、円山動物園から分けてもらってからですから、もう6年以上生きていることになります。日本産のサンショウウオは、国の特別天然記念物に指定され、世界最大の両生類として有名なオオサンショウウオのほか、小型のサンショウウオを含め19種ほどが知られています。エゾサンショウウオは、日本では釧路湿原だけに見られるキタサンショウウオとともに北海道に分布する止水(わき水のたまった小さな水場)性のサンショウウオです。
 本州の池や沼ではサンショウウオに非常によく似た両生類であるイモリの方をよく見かけます。カエルとは尾のあるなしで区別がつきますが、イモリとはどこが違うのか、長い間気になっていたその違いをちょっと調べてみました。産み落とされた卵の塊に放精する体外受精と放出された精子の塊をメスが体の中に取り入れる体内受精、腹部に肋条(ろくじょう)という縦のシワがあるとない、前者がサンショウウオで後者がイモリ。
 実は、サンショウウオの寿命を調べていて横道にそれてしまいました。結局、寿命についてはわからずじまい。産卵の条件とともに今後の楽しみとなりました。

(主任学芸員 遊佐 清明)

エゾサンショウウオ

4月13日 (第282回)

季節はずれのサケ  東京都井の頭自然文化園見学記

 春の日差しが暖かな4月7日の午前中、観察窓史上一番遅い、サケの親魚が現れました。体に傷もなく、とてもきれいなオスです。何度か窓の前に姿を現しましたが、その後どこかへ行ってしまいました。季節はずれのサケに、私たちも大変驚いています。
 話は変わりますが、4月1日、東京都武蔵野市にある東京都井の頭自然文化園へ行きました。前日の31日は雪が降って肌寒い日でしたが、翌日は晴れて暖かく、行楽日和となりました。
 井の頭自然文化園は本園の他分園があり、まずは井の頭公園の中にある分園から見学しました。入ってすぐに、ツルやカモなどのケージが並んでいます。千歳川でもカモ類は身近な鳥ですが、なかなか間近で見る機会がないので、じっくりと観察しました。
 そして水生物館。ここで驚いたのは、カモのいる水槽です。その水槽には魚、そしてカメまでいます。カメが呼吸のために水面へ浮いたときにカモと仲良く並び、とても不思議な光景でした。ふるさと館ではこういった水槽はありませんが、水中観察窓で時々マガモのおなかが見られることがあります。
 その後、本園を見学しました。こちらは動物園で、戦後初めて来日したというアジアゾウの花子、熱帯鳥温室、リスが放し飼いになっている「リスの小径」、資料館で行われていた巨樹の写真展が印象に残りました。
 井の頭公園は桜が満開でした。あちらこちらで宴会が行われ、池にはボートがいっぱい、またそれに乗るための長い行列も見えます。とにかく公園内は人が多く、私も久々の人混みにうんざりでした。でも、一足早く桜を見て、楽しい一日を過ごしました。

(学芸員 荒金 利佳)

季節はずれのサケ

4月20日 (第283回)

耳石のお話

 みなさんは「耳石(じせき)」ってご存じですか?
 耳石は魚が自分の体が今どんな位置にあるかを知るための器官(きかん)の一つです。ちょっと難しく言うと、これがあるから地球に引っ張られる力=重力や水の中を泳ぐ自分の速度の変化を感じることができるのです。
 魚の頭の後ろ側には左右3つずつ「袋」があり、その中に炭酸カルシウムでできた平らな石があります。これが耳石です。実はこの耳石、遺跡からたくさん見つかることがあります。
 僕は今、苫小牧市の静川(しずかわ)遺跡という貝塚からみつかった200点以上の耳石を調べています。この貝塚は今から6千年前の縄文時代に残された遺跡です。貝塚の他にたくさんのイエの跡、お墓などもある大きなムラだったところです。この頃は今よりずっと暖かく、海が美々貝塚近くまで入り込んでいたので、小高い丘の上の静川遺跡は当時海に突き出た岬にあったことになります。
 耳石を調べるといろいろなことがわかります。まず、魚の種類によってその形が違うので、静川縄文人がどんな魚をどのくらい捕って食べていたのかがわかります。また、耳石を測定することによって生きていた時の魚の大きさを知ることができます。さらに耳石は毎日少しずつ大きくなり、木の年輪と同じ同心円の線を残します。これを顕微鏡で見ると、魚が何歳だったか、縄文人に捕られた季節までを知ることできます。
 静川遺跡で一番多いのはニシン、次にボラ科のメナダ、スズキと続きます。今北海道沿岸では捕れないスズキが多いことは、当時が暖かかったことを示します。そのスズキ、とても大きいのです。僕の標本は全長80cmの耳石ですが、静川の耳石はそれよりはるかに大きく、1mをこえるものがふつうだったようです。みなさんが知りたいサケはどうだったでしょうか。実はキュウリウオの耳石が1個あっただけでした。サケは少なかったのでしょうか?
 これから耳石を顕微鏡で調べる作業には入ります。魚を捕る季節がわかれば、サケが多くない理由もわかるかもしれません。その時はまたお知らせしょう。

(学芸員 高橋 理)


4月27日 (第284回)

企画展で指宿(いぶすき)紹介  目玉はオオウナギ

 いよいよゴールデンウィーク到来。ふるさと館でもさまざまなイベントが用意されています。まず29日は午前10時からサーモンフェスティバル(サケ稚魚の放流式)がふるさと館前せせらぎ水路で開催されます。これはどなたでも参加することができ、放流記念カードや甘酒の無料サービスもあります。
 30日から5月6日までは入館者対象に午前11時と午後2時の1日2回、サケ稚魚の放流体験を実施します。28日から5月6日までの期間中は「クイズラリー」や「サモン君をさがせ」などの、ひと味違った館内見学が楽しめるよう準備しています。
 企画展示は千歳市と姉妹都市の鹿児島県指宿(いぶすき)を紹介する「姉妹都市指宿大研究!!」を開催します。この企画展示は、その目玉になるオオウナギを収集できるか否かにかかっていましたが、各方面からのご協力もあり、なんとか企画展開催にこぎつけることができました。
 オオウナギは世界中のウナギ15種類の中で最も分布範囲が広く、インド洋沿岸から太平洋南西沿岸にかけて生息しています。西日本はその分布域の北限にあたります。
 指宿市には九州最大のカルデラ湖である池田湖があり、そこに群生しているオオウナギは指宿市の特別天然記念物に指定されています。
 展示生物はこの他にテラピア、テナガエビ、セミエビなど6種類予定しています。ゴールデンウィークのふるさと館、是非ご利用くださいますようお願いいたします。

(主任学芸員 遊佐 清明)

オオウナギ


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