樽前山は約4万年前の巨大な噴火で生じた支笏カルデラの南の縁に位置する活火山です。約9100年前に大きな噴火と共に誕生しました。約2500年前や1667年と1739年にも大きな噴火があったことがわかっています。1739年の大噴火の際にできた火口の縁は現在の外輪山にあたります。その中はその後の噴火により埋め尽くされ、中央部には1909年の噴火により溶岩ドームが造られました。最も最近の噴火は1981年に起こりました。

 樽前山で発生する噴火は、過去の実績から「規模が小さなものから大きなものまで多様であること」、「規模の小さな噴火ほど発生する可能性が大きいということ」がわかっています。噴火が起こる間隔は不規則で次の噴火がいつになるのかは予測できません。噴火が起こる場所は山頂部の火口原の中に限ると考えられており、最近の研究成果によると1739年に起こったような大きな噴火が近い将来起こる可能性は低いとされています。1909年に起こったような中規模の噴火が発生した場合には、千歳の市街地でも降灰による被害が出る可能性があります。

 平成23年6月7日、樽前山に隣接する風不死岳においても一万年以内に噴火していたことが明らかとなり、新たに活火山として選定されました。風不死岳については樽前山に隣接していること、及び過去の噴火活動の推移等から、両火山は一連の火山としてみなせると考えられ、樽前山の活火山の範囲を拡大し、樽前山と風不死岳を一括して樽前山に含めることとしています。
(風不死岳の活火山選定については、一万年以内に噴火していたことが明らかになったために選定されたもので、火山活動に変化が生じたものではありません。)

 樽前山の情報は気象庁のホームページにも掲載され、月に1度火山活動解説資料が発表されています。

注)気象庁のホームページ火山活動解説資料は、別ウインドウで表示します。

   

想定される火山災害 

①     噴火(1981年に起こったような小噴火を想定)

 はっきりとした前兆現象はなく噴火します。現在山頂部にある溶岩ドームの一部から噴煙が立ちのぼり、火口原や山頂部に噴石が落下し、有害な火山ガスが発生する可能性があるため登山は規制されます。少量の火山灰が風下方向に降りますが、市街地では特に被害は発生しないと想定されています。また、噴火が長期間になることもないと想定されています。

 

1979年2月の小噴火で雪上に積もった火山灰 (勝井義雄氏撮影)

 

②   中噴火(1909年に起こったような中噴火を想定)

 山頂部に火口が開いて噴煙を高く噴き上げる噴火です。噴火は何回も繰り返し長期化します。中噴火が始まる前にどれほどの前兆が観測されるかははっきりわかっていません。

 噴火が発生すると、噴煙と共に噴き上げた大量の火山灰が上空の風に流され、風下の市街地で数センチ積もる可能性があり、降灰対策が重要になります。山頂部や山腹には噴石も降り注ぎます。

 噴火後に大雨が降ると、山麓に泥流(土石流)が流れ、支笏湖まで達する可能性があります。その場合、支笏湖付近の国道は泥流の被害のため通行止めになり、周辺のキャンプ場も規制がかけられます。

 火口から新しいマグマが噴き上げる噴火が発生した場合、小豆や栗粒大の軽石が市街地に降ってくる可能性があります。また、火砕流が山の斜面の一部を途中まで流れ下る可能性もあります。積雪期に火砕流が発生すると、直ちに融雪型泥流が発生します。

 災害予測図には中噴火で発生する最大限の被害予想を示しており、多くの場合火砕流に覆われる範囲はこれより狭いと想定されています。また、火山灰が降る範囲は噴火時の風向き等により変化します。

 

1909年噴火の噴煙 (北海道開発局室蘭開発建設部所蔵)

 

③     大噴火(1739年に起こったような大噴火を想定)

 噴火が始まると上空10000メートル以上に達する噴煙が勢いよく立ちのぼり、風下に大量の軽石が降り注ぎます。その後、高温の火砕流が樽前山の全方位に流れ下り、苫小牧市側の山麓や支笏湖の南岸に達します。そのため苫小牧市の広い範囲や千歳市の支笏湖畔では避難が必要となります。多くの河川で泥流(土石流)が発生する可能性があります。

 災害予測図には火砕流と泥流、そして軽石・火山灰が降る範囲について過去の発生実績から想定した最大の範囲が示されています。しかし、最近の樽前山の研究成果によると、近い将来この規模の噴火が起こる可能性は低いと見られています。

 

樽前山の大規模噴火と同程度の噴火による噴煙 (セントへレンズ火山1981年噴火 ©米国地質調査所)

 

樽前山ハザードマップ

この地図は、樽前山が噴火をおこした場合に予想される降灰区域等を表したものです。

・樽前山火山防災マップ (室蘭開発建設部ホームページ)
 (画像をクリックすると別ページでウィンドウが開きます。)

 

噴火警戒レベルについて 

 噴火警戒レベルとは、気象庁が樽前山について平成19年12月1日より導入しているもので、火山活動の状況を噴火時等の危険範囲や必要な防災対応を踏まえて5段階に区分したものです。住民等に必要な対応が分かりやすいように、各区分にそれぞれ「避難」「避難準備」「入山規制」「火口周辺規制」「平常」のキーワードをつけて警戒を呼び掛けています。噴火警戒レベルは噴火警報及び噴火予報で発表されます。 

現在の樽前山の噴火警戒レベルについては気象庁のホームページをご覧ください。(別ページでウィンドウが開きます。)

 噴火予報・警報  噴火警戒レベル   キーワード       火山活動状況

 噴火警報

  5

 (避難)

居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生あるいは切迫している

 噴火警報

  4

 (避難準備)

居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生すると予想される
  火口周辺警報

  3

 (入山規制)

居住地域の近くまで重大な影響を及ぼす噴火が発生あるいは発生すると予想される
  火口周辺警報

  2

(火口周辺規制) 火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生あるいは発生すると予想される

 噴火予報

  1

 (平常)

火山活動は静穏

 噴火警戒レベル.pdf [1330KB pdfファイル]

 

降灰による影響

  中規模の噴火が起こると千歳市の市街地では降灰による被害が発生する可能性があります。降灰が発生した場合は、次のような対応が必要となります。

1) 火山灰は微細な岩のかけらです。吸い込むと呼吸器疾患を発生することがあります。また眼の疾患も発生することがあります。

2) 外出は必要最小限とし、外出する際はマスク、ゴーグル、帽子などを着用し、鼻や口、目を覆うようにしましょう。コンタクトレンズは外しましょう。

3) 屋内に火山灰が侵入しないように、ドアや窓は閉めましょう。また、火山灰で汚れた衣服は着替えましょう。

4) 降灰時には視界も悪く、道路も滑りやすくなるため自動車の運転はできるだけ避けましょう。自動車のエンジンは火山灰を吸い込むことにより故障する原因となります。

参考資料

火山灰から身を守ろう [4717KB pdfファイル] (独立行政法人 防災科学技術研究所発行)

 

樽前山登山規制について

樽前山は現在も火口温度が高く、高温で有毒な火山性ガスを含む噴煙が噴出してます。登山につきましては外輪山までとし、外輪山の内側(ドーム含む)への立ち入りを禁止しています。
火口付近の画像につきましてはこちらを参照してください。

 

火山に対する防災対策について

 火山噴火が起こったら(防災ガイドのページへリンク)

 

用語解説

火山灰

 火山の噴火により放出される砂粒や小麦粉のように細かな岩の破片を火山灰といいます。火山灰が降り積ると風や自動車の通行により舞い上がります。火山灰を吸い込むことにより気管や目を傷めます。雨で湿った火山灰は重くなるため、大量に火山灰が積もった時は屋根からおろす必要があります。

火砕流

 噴火により火口から周囲に高速で流れ広がり、軽石や火山灰そして火山ガスが混ざった高温の流れを火砕流といいます。火砕流が到達した山林は焼き払われてしまいます。

軽石

 噴火によってマグマが火口から噴き出した後も火山ガスを放出しながら泡立つことがあります。大気により冷却されると穴だらけの破片となります。これを軽石と呼んでいます。

泥流(土石流)

 火山噴出物と水が混ざって谷に沿って流れる現象を泥流(土石流)といいます。噴火後の大雨で噴出物が流されたときに発生します。谷を流れ下る際に崖を削り取って流量が増え、山麓では含まれている岩や土砂が河床に積もって氾濫したり、橋を流したりという被害が出ます。融雪泥流と識別するため降雨型泥流と言うこともあります。

噴石

 火山の噴火によって固い岩の破片が火口から飛んでくることがあります。これを噴石といいます。身体に当たると死傷してしまいます。

融雪泥流

 積雪期の噴火で高温の火砕流が積もることにより雪が溶かされ、発生する泥流を融雪泥流といいます。