はじめに

  平成18年第1回定例市議会の開会にあたり、平成18年度の教育行政執行方針を述べさせていただきます。

 今日、社会の変化は大きく、価値観や生き方も多様化してきております。また、地域社会では、都市化や核家族化が進むとともに人間関係の希薄化が言われて久しくなっております。
 このことは、子どもたちを取り巻く環境にも大きく影響を与えており、夢や希望、目標が持ちにくくなっていることや学ぶ意欲や思いやる心が薄れ、学力の低下傾向が指摘されていること、生活習慣や規範意識にも乱れが見えることなど、憂慮される状態が続いております。

 こうした時にこそ、人格の完成と社会の形成者の育成という教育の目標をしっかり再認識し、知・徳・体のバランスのとれた人間の育成に、学校、家庭、地域社会が力を合わせて取り組むことが必要であると考えております。

 学校教育は現在、大きな変革の時を迎えておりますが、教育で大事なことは継続性と発展性であります。これまで実践してきた「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」を育むための教育を一層充実させるとともに、すでに定着してきております地域とともに歩む教育の実現に努めてまいります。 また、大きな社会問題になっております、犯罪から子どもたちを守るための安全で安心できる学校管理体制の強化とこれを支える地域づくりに、特に力を入れてまいりたいと考えております。

 生涯学習の分野では、地域の人々が学習し、その成果を活かすことができるようにするため、地域社会が生涯学習の推進を前提にした地域づくりを進めることが必要であります。
 また、「ひとづくり」、「まちづくり」には、生涯学習と学習成果を積極的に活用した市民活動の推進は欠かすことのできないものでありますことから、市民活動支援施設の整備など、市民自らが学習成果をまちづくりに活かすことができる仕組みや体制を整えてまいります。

社会教育の分野では、平成13年度に策定した「千歳市第3期社会教育長期計画」が折り返しを迎え、平成17年度に計画の見直しを行いました。後期5年間で取り組むべき観点と方策のもと、市民の自発的意思に基づき、生活のあらゆる機会と場所において行われる各種の学習やスポーツ活動、文化芸術活動を市民と行政との協働により積極的に推進してまいります。

 こうした基本的な考えのもと、平成18年度の教育行政の執行にあたりましては、本市教育の充実と発展のための諸施策を実施する所存であり、「教育推進の重点目標」をはじめとする各分野における基本的な考えを申し述べます。

教育推進の重点目標

平成18年度の重点目標は、

「千歳のまちに誇りを感じ、新時代を切り拓く豊かな教養と自立する力、思いやりの心をもった人間の育成」

といたします。

本市の教育行政の執行に当たりましては、今日までの教育成果を踏まえながら、諸施策の実現に力を注ぐとともに、「本市の特性を活かした新たな教育の在り方」について審議している「千歳市の教育を考える市民会議」からの提言に、期待しているところであります。 

 

学校教育の主な施策

学校教育の主な施策について、申し上げます。

施策の第1は、「確かな学力と学ぶ意欲の向上」であります。

 その1点目は、「基礎・基本の定着と学力の向上」であります。

 子どもたち一人ひとりが、生涯にわたってたくましく生きる力を培うためには、それぞれが持つ個性や能力を最大限に伸ばしていくことが重要であります。「確かな学力」を育みながら個性を伸ばすためには、学習の基礎・基本となる「読み・書き・計算」をしっかりと身に付けさせることが必要であり、そのため、少人数指導・習熟度別指導やティーム・ティーチングなど指導法の工夫・改善に努め、個に応じたきめ細かな学習指導の充実を図ってまいります。

2点目は、「特色ある教育活動の推進」であります。

子どもたちの学習意欲を向上させるためには、授業や学校活動への興味や関心を持たせることが大切であります。グローカルスクール活動事業は、各学校での総合的な学習の時間などにおいて子どもたちの自主的な取り組みを促す上でもたいへん効果のある事業となっており、今後も地域の教育資源を活用した特色ある教育活動が展開できるよう支援してまいります。              また、千歳科学技術大学との連携による「サイエンス会議」を引き続き開催し、子どもたちの発表能力の向上と学習意欲の高揚を図ってまいります。

 3点目は「国際理解教育の推進」であります。

 これからの時代をたくましく生きていくためには、国際社会の中で活躍できる人材を育成することが必要であります。

 特に、国際的な共通語となっております英語の習得については、早い段階からの実践的学習が必要であり、現在、小学校17校で取り組みを行っている英会話の学習については、今後もその充実を図り、国際理解教育の推進に努めてまいります。

 4点目は「情報教育と大学連携の推進」であります。

 各学校に配備しておりますコンピュータ機器類は、老朽化や能力の問題から順次更新を実施することとしております。中学校においては、千歳科学技術大学と連携し、電子学習教材「e-ラーニング」の活用を推進してまいります。また、子どもたちがモラルをもって正しく情報ネットワークを利用できるよう情報教育の推進に努めてまいります。

 5点目は「地域に開かれた学校の推進」であります。

 これからは、教育を提供する側からの発想だけではなく、保護者や、地域住民の意向を反映し、信頼される学校となることが強く求められております。
 そのためには、地域と一体となった学校づくりを推進していく必要があり、学校評議員制度の活用や地域の教育的資源を積極的に取り入れた開かれた学校の推進に努めてまいります。

 

施策の第2は、「豊かな心を育む道徳教育の推進」であります。

 その1点目は、「体験を活かした道徳教育の推進」であります。

子どもたちが夢や希望を持って人生や社会を切り拓く力を持つためには、知・徳・体をバランスよく育んでいくことが大切であります。中でも、今の子どもたちには、人を思いやる心、命を大切にする心、我慢する心、規則正しい生活習慣や倫理観などの道徳性の修得が必要であります。
 そのためには、日常における道徳指導のほか、子どもたちの体験を通した、心に響く学習を積極的に取り入れるとともに、すべての教育の原点である家庭教育の充実に向けた取り組みに努めてまいります。

 2点目は「生徒指導や教育相談の充実」であります。

 子どもたちのいじめや不登校、問題行動を抑止するための対応として、「千歳市いじめ・不登校等対策会議」、適応指導教室「おあしす」の充実に努めるとともに、「なかよしさわやかDAY・いじめシンポジウム」による情報交換や啓発活動を積極的に推進するとともに、スクールカウンセラーや心の教室相談員の活用を図り、心に悩みを抱える子どもへの対応の充実を図ってまいります。

 学校と警察との間で情報を共有する「子どもの健全育成サポートシステム」につきましては、引き続き関係する機関・団体との連携を強化し、青少年の非行防止など、健全育成の推進に努めてまいります。また、学校における非行防止教室を開催するなど、子どもたちの問題行動の抑止に努めてまいります。

 

施策の第3は、「健やかな心身を育む健康・安全教育の推進」であります。

 その1点目は「健康・安全教育の推進」であります。

 学校では、子どもたちにとって有害な喫煙、飲酒や薬物の乱用などの指導を行ってきておりますが、全国的に低年齢化が進んでいる現状を踏まえ、警察署など関係機関と協力し、各学校での薬物乱用防止教室の開催を促進してまいります。また、子どもを対象とした凶悪犯罪や不審者情報の増加に対応するため、学校における安全マップの作成や防犯教室を開催し、指導の充実を図ってまいります。さらに、登下校時に不審者から子どもたちを守るため、保護者や町内会、地域ボランティアなどとの協力体制のもと、「千歳っ子見守り隊」を組織してまいります。

 2点目は「健全な心身を育てる食育の充実」であります。

 子どもたちの健全な心身を育むために、食事を正しくとることは大切なことであります。学校では、給食や家庭科の時間などを通じて食の大切さを学んでおりますが、特に、給食においては、子どもたちが安全・安心で、おいしく食べることができるよう、食材や施設管理の徹底に努めてまいります。
 また、「食の自己管理能力」や「望ましい食習慣」を身に付けさせるため、食に関する指導の中核的な役割を担う栄養教諭の導入を検討してまいります。
 高知県南国市との食材交流を引き続き行うとともに、地産地消の推進に努めてまいります。

施策の第4は、「障害の程度に応じた就学指導・支援の充実」であります。

 その1点目は「障害の程度に応じた指導の充実」であります。

 北進小中学校の教育活動は、特殊教育の分野においては、その実践内容が高い評価を得ているところであり、特殊教育の中核的役割を果たしているところであります。今後も、同校を中心に、障害のある子どもたちに対する就学指導の充実を図ってまいります。

 また、特殊学級と通常学級の交流学習や体験学習などを積極的に取り入れ、子ども同士の触れあいができるように働きかけてまいります。

 2点目は「障害の程度に合わせた支援体制の充実」であります。

 本市においては、平成15年度から特別支援教育の推進を図り、各学校の校内体制も既に構築されております。

今後も、各学校に在籍する学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、高機能自閉症などの障害のある子どもたちをケアするため、北進小中学校を核とした支援体制の充実を図ってまいります。また、重度・重複障害のある子どもたちが通学を希望する「特別支援学校」の設置について、引き続き誘致活動を進めてまいります。

 

施策の第5は、「信頼される安全・安心な学校づくり」であります。

 その1点目は「信頼される教員の育成」であります。

 今、求められている学校教育を実現するためには、信頼される教員の育成が不可欠であります。今後も、「教職に対する強い情熱」、「教育の専門家としての確かな力量」、「総合的な人間力」など、教員としての資質や能力の向上を図るため、自主研修や関係機関が開催する各種研修会への積極的な参加を促すとともに、自己研さんのための研究を奨励してまいります。

 2点目は「学校評価の推進」であります。

 学校評価は、教育の質を保証するとともに、保護者の教育ニーズ把握や、学校運営の改善・充実を図る上からも重要なものであります。

 自己評価や外部評価の公表は、「開かれた学校」を推進する上で有効であります。これは、保護者や地域に対する説明責任を果たす手段としても必要と考えており、積極的に取り組んでまいります。

 3点目は「学校の安全管理体制の充実」であります。

 学校における災害や犯罪に対して、子どもたちや教職員が速やかに対処できる能力と知識を習得するため、各学校での安全管理マニュアルに基づく訓練の実施に努めてまいります。

 また、防災教育などによる学校や家庭での防災に対する意識付けを促進してまいります。

 4点目は「快適で安全な学校環境の整備」であります。

 平成18年度においては、子どもたちの快適な学習環境を維持するため、支笏湖小学校、駒里小中学校において大規模改修を実施するなど、計画的な施設の改善・改修に努めてまいります。

 高台小学校と青葉中学校では耐震診断に基づく補強のための実施設計を行うとともに、新たに日の出小学校と信濃小学校の耐震診断を行うこととしております。

児童・生徒及び教職員等が、教育施設周辺などにおいて、緊急的に救命措置の必要が発生した場合の対応を図るため、自動体外式除細動器(AED)を、学校・体育・社会教育の13施設に配置することとしています。

 

 施策の第6は、「教育機会の拡充」であります。

 その1点目は「幼児教育の充実」であります。

 幼児期における教育は、学校教育と同様に、生涯にわたる健全な発達や社会の変化に対応するための能力を育む上で極めて重要なものであります。

 本市では、昨年11月に幼稚園早期入園特区の認定を受け、本年4月より、3歳未満の幼児が年度の当初から入園できることとなりましたが、今後とも、希望する幼児が適切な教育を受けられるよう、幼児教育環境の整備と充実を推進してまいります。

 2点目は「修学支援の充実」であります。

 現在、本市における奨学金の交付対象は、大学、短期大学、高等専門学校、高等学校に在学する学生・生徒となっており、専修学校生については対象外となっておりますが、専門性が高く実践的な教育を展開する専修学校の高等課程、専門課程を専攻している生徒を、平成18年度から、奨学金の交付対象の範囲に加えるとともに、年々奨学金の交付を希望する学生・生徒が増加傾向にあることを踏まえて、交付予定人数を20人から40人に拡大することとしております。

 

生涯学習の主な施策

 生涯学習の主な施策について申し上げます。

 

 施策の第1は、「市民活動支援施設の整備」であります。

 生涯学習が地域づくりと結びつくためには、学習成果を身につけた人々が、ひとづくり、まちづくり活動に参画し、そうした人々のネットワークが地域社会の課題解決や活性化を図る原動力となり、市民や地域の活力向上のために様々な領域で力強い推進基盤になると考えております。

 このことから、市民ギャラリー内に「市民活動交流センター」を開設することとしており、市民活動や市民協働によるまちづくりを推進し、豊かな市民生活や活力ある地域社会の実現を図るため、市民の自主的な活動や交流を積極的に支援してまいります。

 

 施策の第2は、「ひと・まちづくりリーダーの養成」であります。

 様々な領域での市民活動の蓄積や人間関係の広がりには、「ひとづくり」、「まちづくり」のためのリーダーの養成が課題となっております。このため、「みんなで、ひと・まちづくり基金」を活用し、市民が自ら企画した活動を支援するとともに「みんなで、ひと・まちづくり委員会」が市民活動のリーダーを養成する事業として取り組んでいる「ひと・まち工房」活動を積極的に支援してまいります。

 

社会教育の主な施策

次に、社会教育の主な施策について、申し上げます。

 

 施策の第1は、「豊かな心と生きる力を育む家庭教育・青少年教育の充実」であります。

 その1点目は「家庭教育に関する学習機会の充実」であります。

 本市は、生産年齢層の異動が多く、地域との関わりが薄れがちになり、孤立して子育てする傾向があります。こうしたことから、子どもたちが心身とも豊かに成長していくよう、子育て支援に関わる人材の育成や団体などとの連携を図り、子育て講座やママさん教室など、家庭教育に関する学習機会の充実に努めてまいります。

 2点目は「子ども活動支援センター機能の充実」であります。

 学校や子どもの地域活動に関わる団体などとの情報交流や協力体制を強化し、市民活動とのネットワークを整備するとともに、各種体験活動の情報提供・相談機能を持つ子ども活動支援センター機能の充実を図り、地域全体で子どもたちの生きる力と豊かな心を育んでまいります。

 

 施策の第2は、「市民の学習機会や社会参加の意欲を支える成人教育の充実」であります。

 その1点目は「市民力を育む多様な学習機会の充実」であります。

 市民が「学び」を通して地域の様々な課題に対する高い問題意識と課題解決のための意欲が持てるよう、自ら学習活動に参加するなど、市民力を育む多様な学習機会の充実に努めてまいります。

 2点目は「学習の成果を活かした市民活動の促進」であります。

 ボランティアや指導者など、地域活動に携わる幅広い人材の活用や地域の人材のネットワークを整備するとともに、学習の成果を活かした市民活動の促進を図ってまいります。

 

 施策の第3は「市民が学びあえる環境づくりの推進」であります。

 市民の多様な学習ニーズに対応するため、効果的・効率的な運営・指導体制の整備や施設間のネットワークを拡充し、施設の機能や学習環境の整備・充実に努めてまいります。公民館活動においては、公民館運営審議会等の意見や受講者アンケートの結果を踏まえ、学んだ成果を自身の活動や地域の活動に活かされる公民館教室などを開催してまいります。

 図書館においては、「千歳市子どもの読書活動推進計画」に基づき、子どもが自主的に読書ができる環境の整備・充実とともに、読書活動の推進と普及を図ってまいります。また、インターネット及び携帯電話からの借り受け予約サービスが順調に推移しており、さらにその普及に努めてまいります。

 財団法人千歳青少年教育財団につきましては、市民団体などと連携を図りながら青少年活動事業を推進するとともに、財団が管理・運営する「千歳サケのふるさと館」が、その魅力を最大限に発揮して、より多くの方々が足を運んでいただけるよう、アイディアを活かした施設運営の支援に努めてまいります。

 

施策の第4は「個性豊かな芸術文化の創造と文化財の保護・活用の推進」であります。

 その1点目は「個性豊かな芸術文化の創造」であります。

 市民が地域文化に誇りをもち、地域全体の文化環境を高めていくためには、地域文化の創造は市民一人ひとりの役割である意識を高め、主体的に活動に参画し、地域文化を守り、創り上げていくことが必要です。このことから、芸術文化活動に親しむ機会の充実と地域の文化情報ネットワークの構築に努めてまいります。

また、リニューアル工事を実施してまいりました市民文化センターにつきましては、芸術文化の殿堂として、市民の創作発表活動を積極的に支援するとともに、優れた舞台芸術などの提供に努めてまいります。

2点目は「文化遺産の保存と活用の推進」についてであります。

文化財は、先人の残した歴史的な文化遺産であり千歳の豊かな個性「千歳らしさ」を示す地域の大切な資産であります。この文化財の積極的な保護と文化財を活用した学習を推進し、次の世代に継承できるよう努めてまいります。

 

施策の第5は、「市民が親しめる生涯スポーツの振興」についてであります。

 これまで、スポーツを通じて市民の体力・健康増進はもとより、達成感や楽しさを共有できることを目標に体育施設の整備や各種施策を実施してきたところであります。少子高齢化の進行や核家族化、情報化などの社会的背景の中での生涯スポーツは、高齢者の予防医学、地域交流や心の癒しなどの様々な効果も期待されることから、その必要性が益々高まっているところであります。

市民が、スポーツを通じて健やかで活力ある生活を送ることができるよう、引き続き、生涯スポーツの振興のための環境づくりに努めてまいります。