平成17年度教育行政方針
はじめに
今日の子供たちを取り巻く環境は、物質的な豊かさと便利さ、高度な情報伝達機能の普及により大きく変化しております。その結果、自立心、自己抑制力、忍耐力、連帯感、思いやりの心などが衰弱し、人間関係の希薄化やコミュニケーション能力の低下など、将来、社会の一員として必要な資質が身につかないまま、大人になってしまうという指摘があります。
このような中で、教育に寄せられる期待は学力向上のみならず、知育・徳育・体育の調和のとれた人間形成にあると考えております。
学校教育におきましては、平成14年度から推進してまいりました「生きる力」を育むための「ゆとりある教育」において、総合的な学習を中心に、子供たちの興味・関心を高め、地域と結びついた活動を取り入れるなど、新しい教育活動の在り方として定着してきているところであります。
一方、学力低下が大きな問題として取りざたされ、文部科学省では、本年2月、学習指導要領の見直しを中央教育審議会に諮問したところでありますが、この審議経過を注視してまいりたいと考えております。
本市の小中学校においては、これまでも基礎・基本の修得に重点を置いて、「確かな学力」の定着に力を注ぎ、着実にその成果をあげてきております。
また、学校や子供たちを巻き込んだ凶悪犯罪、大規模な自然災害などが続発していることから、子供たちの身を守るための安全で安心できる学校管理体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
社会教育におきましては、今日の核家族化、都市化・高度情報化等による人と人との触れ合いが減少している社会においては、子供たちが生命を尊び、心身ともに健康で豊かな人間性を育むことができる子育ての環境づくりが、今や喫緊の課題となっております。このため、子育て中の家庭に対しては学校や地域社会とのかかわりの中で子育ての喜びを知り、愛情豊かに育てられる仕組み作りが必要であると考えております。
現在、国ではさまざまな教育改革が進められようとしており、今後の進展や動向を注視してまいりたいと考えておりますが、常に子どもに視点を置いた、人間力向上のための改革であって欲しいと期待しております。
こうした基本的な考えに立ち、平成17年度の千歳市教育行政の執行に当たりましては、学校、家庭、地域社会がそれぞれの役割を果たすとともに、互いに連携し、望ましい環境づくりを推進していかなければならないと考えておりますことから、「教育推進の重点目標」や各分野の基本的な考え方に基づき、千歳市の子供たちの健やかな成長を育むための諸施策について申し述べます。
教育推進の重点目標
平成17年度の「教育推進の重点目標」を
「千歳のまちに誇りを感じ、未来を切り拓く調和のとれた人間の育成」
とします。
学校教育をはじめ、家庭、地域社会の各分野における現状と課題を確認し、本市の特性を活かした新たな教育のビジョンを広く市民の各階層で討議していただき、本市の教育の活性化と市民主体、市民協働による教育を推進していくため、新たに「千歳市の教育を考える市民会議」を設置することとしております。
学校教育の主な施策
学校教育の主な施策について、申し上げます。
第1は、「確かな学力と特色ある教育活動の推進」であります。
その施策の1点目は、「確かな学力を育む」ことであります。
子供たちの持つ能力は無限であり、その力を開花させるためには、自らの活動に興味・関心を抱かせ、夢や希望を育むことが重要であります。
このためには、学習の基礎・基本である「読み・書き・計算」をしっかりと身に付けさせるとともに、学ぶ意欲や自ら考え主体的に判断する「確かな学力」を育むことが大切であります。
各学校では、引き続き少人数指導・習熟度別指導やティーム・ティーチング指導の拡充や、個に応じたきめ細かな学習指導の充実を図り、新たに導入される発展的・補充的内容を効果的に取り入れるなど、学ぶ意欲の向上に努めてまいります。
2点目は、「特色ある教育活動の推進」であります。
特色ある教育活動として定着しておりますグローカルスクール活動事業は、各学校での創造性を活かした発展的活動と、子供たちの自主的な取り組みが促進されるよう、継続して支援してまいります。
また、総合的な学習の時間やグローカルスクール活動の成果を発表する場として、サイエンス会議を引き続き開催することとし、子供たちの学習意欲の増進を図ってまいります。
3点目は「国際理解教育の推進」であります。
国際理解教育の一環として、小学校における英会話学習を実施して3年が経過しますが、これまでの学校独自の取り組みに加え、外国文化に触れる機会を設けるとともに、伝統的な日本文化も学ぶなど、新たな指導の目安となる指針を作成し、その充実を図ってまいります。
4点目は「情報教育と読書活動の推進」であります。
情報教育の分野では、各学校のコンピュータ機器類の更新を順次実施するとともに、千歳科学技術大学との連携のもと、電子学習システム(eラーニング)の活用を図ってまいります。
また、子供たちの感性や集中力、倫理観を培うためには、読書が大変効果的であることから、朝読書や学校図書館ボランティアの協力による読み聞かせなどを、市立図書館との連携を図りながら推進してまいります。
5点目は「地域に開かれた学校の推進」であります。
地域に開かれた、地域と一体となった学校づくりのため、学校評議員制度の活用を図るとともに、地域の教育的資源を積極的に取り入れた教育活動を推進してまいります。
第2は、「豊かで思いやりのある心を育む人間教育の推進」であります。
施策の1点目は、「学校・家庭・地域社会の連携による道徳教育の推進」であります。
今の子供たちには、早い時期から倫理観や規範意識、公共心、人を思いやる心などを、体験を通じて教え込むことが求められております。そのためには、すべての教育の原点である家庭教育の充実が何よりも必要であります。
学校、家庭や地域社会の教育力向上の観点から、子供たちの居場所づくりや奉仕・体験活動への参加を促すとともに、各学校ではこれまで以上に家庭への働きかけを強め、環境教育、福祉教育への取り組みも推進してまいります。
また、子供たちが地域社会に溶け込み、触れ合いを深める「挨拶運動」や「声かけ運動」を一層拡充してまいります。
2点目は「生徒指導や教育相談の充実」であります。
不登校やいじめなど問題行動への適切な対応を図るため、引き続き「千歳市いじめ・不登校等対策会議」による情報交換などに努めるとともに、不登校の子どもに対しては、適応指導教室「おあしす」の活用を図ってまいります。また、「なかよしさわやかDAY・いじめシンポジウム」を開催し、いじめをなくするための啓発活動を積極的に推進してまいります。
各学校では、友人関係や家庭環境に起因し、心に悩みを抱える子どもが増えてきておりますが、いつでも話を聞いてあげられる体制を築くとともに、スクールカウンセラーや心の教室相談員の活用を促進してまいります。
昨今、非行の低年齢化や凶悪化、多様化などの状況が著しく、これまでの生徒指導体制だけでは十分に対応しきれない問題を抱えておりますことから、学校と警察との間で情報を共有する「子ども健全育成サポートシステム」を導入するとともに、関係する機関・団体との連携を強化し、青少年の非行防止など、健全育成の推進に努めてまいります。
第3は、「健やかな心身を育む健康・安全教育の推進」であります。
施策の1点目は「健全な心身を育てる教育の充実」であります。
健やかな体は、すべての活動の基盤であり、子供たち自らが健康に生きようとする強い意志を持つことが大切なことであります。運動する喜びと楽しさが実感できる環境づくりに努めるとともに、健康的な生活を送る態度・能力の育成を図ってまいります。
薬物の乱用や喫煙、飲酒など、子供たちにとって有害・危険な物に対する正しい知識を身につけさせることが今日的な課題となっておりますことから、関係機関との連携を図り、「薬物防止教室」などを開催してまいります。
2点目は「健康な体を育む食育の充実」であります。
学校給食につきましては、子供たちが安全・安心で、おいしく食べることができるよう、食材及び調理施設の衛生管理を徹底するとともに、望ましい食習慣を身に付けるため、学校栄養職員・教諭などによる食に関する指導を推進してまいります。
また、地産地消の推進に努めるとともに、高知県南国市との食材交流を引き続き行ってまいります。
第4は、「障害に応じた就学指導と特殊教育の推進」であります。
施策の1点目は「一人ひとりに応じた指導と交流・体験学習の充実」であります。
障害の程度や種類に応じた就学指導の充実を図るとともに、特殊学級と通常学級の交流学習や体験学習などを積極的に取り入れてまいります。また、学校、家庭、地域社会が連携し、子供たちの社会自立に向けた教育活動の展開を図ってまいります。
2点目は「障害の程度に合わせた指導体制の充実」であります。
学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、高機能自閉症などの軽度発達障害のある子供たちに対する特別支援教育の充実を図るとともに、重度・重複障害のある子供たちが通学を希望する「(仮称)特別支援学校」の設置についても、引き続き誘致活動を進めてまいります。
第5は、「信頼される教職員の育成と学校環境の整備」であります。
施策の1点目は「信頼される教職員を育成する研修の充実」であります。
今日、教職員の資質や能力の向上が強く求められております。教職員の自主的研修の支援を図り、北海道教育委員会や関係機関が開催する各種研修会への参加や、自己研さんのための研究を奨励するとともに、新任教員に対する研修の充実に努めてまいります。
2点目は「学校評価の推進」であります。
学校における日ごろの教育活動や学校運営について、保護者や地域がどう見ているか、何を期待しているかなどを把握することが大切であることから、自己評価及び外部評価を実施し、学校経営の充実を図ってまいります。
3点目は「不測の事態に対応できる学校体制の構築」であります。
学校における予期せぬ災害や犯罪に対して、教職員が速やかに対処できる能力と知識を習得するため、各学校の安全管理マニュアルに基づく訓練の実施に努め、機動的な組織体制づくりに努めてまいります。
4点目は「快適な学校環境の整備」であります。
子供たちが快適な学校生活を送るため、平成17年度においては日の出小学校、祝梅小学校の2校において暖房設備の入れ替えを行うともに、高台小学校と青葉中学校において耐震診断を実施するなど、計画的に施設の改善・改修に努めてまいります。
社会教育の主な施策
社会教育の主な施策について、申し上げます。
第1は、「生命を尊び、豊かな人間性を育む家庭教育の充実」であります。
施策の1点目は、「家庭教育に関する学習機会の充実」であります。
本市は、転出入による生産年齢層の異動が多く、地域とのかかわりが薄れがちになり、孤立して子育てする傾向があることから、親の学習・育児相談機会としての子育て講座やママさん教室を開催するとともに、子育てに悩む親を支援するため、ボランティアによる子育てサポーターの養成に引き続き努めてまいります。
2点目は、「子ども活動支援センターの充実」であります。
子供たちの多様な体験活動の機会や、情報提供・相談機能を持つ「子ども活動支援センター」機能の充実を図り、家庭と地域全体で子育てを支え、たくましく生きる力を育んでまいります。
第2は、「市民の学習機会と社会参加を促進する活動の充実」であります。
施策の1点目は、「多様なニーズに沿った学習機会の充実」であります。
今日の、価値観が多様化した社会においては、市民の生涯学習活動領域は、広範になってきております。
このため、行政や地域の有する施設、事業、人材等の学習資源の活用を図り、生涯学習教育を効果的に推進する必要があります。
市民が、学習を通じて豊かで潤いのある生き生きとした生活を営むことができるよう、学習機会の充実に努め、教養講座やIT講座等の事業を市民主体の学習プログラムとして体系化を図るとともに、生涯学習推進体制の充実に努めてまいります。
2点目は、「学習成果を生かす社会参加の促進」であります。
各種講座で学習した成果や独自に習得した知識・技能等を地域社会の自主的な活動に生かすことができるよう、人材バンク登録制度等の充実を図り、市民の社会参加の促進に努めてまいります。
第3は、「市民主体の活動を促進する社会教育環境の充実」であります。
市民の多様な学習ニーズや情報化社会の進展に対応するため、各社会教育施設の機能や学習環境等の「学びあえる場の充実」に努めてまいります。
公民館においては、公民館運営審議会等の意見や受講者アンケート調査の結果を踏まえ、市民ニーズに対応した公民館教室を開催いたします。
市立図書館においては、子供たちが、本への親しみ・読書する力・読書の楽しみを身に付けるため、「千歳市子どもの読書活動推進計画」を策定いたします。また、インターネット及び携帯電話から借り受け予約ができる情報システムの更新を行うとともに、6月から夜間開館を試行的に実施して利用状況を把握し、今後の在り方を検討してまいります。
また、市民文化センターにおいては、施設の老朽化や市民ニーズに応えるため、「リニューアル事業」を実施し、施設の整備充実に努めることとしております。
工事期間中は、今年度で廃止となる長都小中学校を代替施設として、市民ギャラリーとともに市民の文化活動の場として利用いただけるようにいたします。
さらに、財団法人千歳青少年教育財団が管理・運営する「千歳サケのふるさと館」においては、道の駅「サーモンパーク千歳」が開設されることから展示施設・内容をさらに充実させ、より多くの方々に足を運んでいただける施設となるよう支援してまいります。
第4は、「多様な文化芸術の育成と文化財の保護・活用の推進」であります。
施策の1点目は、「文化振興のための環境整備」であります。
文化芸術は、人々の共感をもたらし、個人の自己形成に資するものであり、ゆとりと潤いのある生活を実現するため、市民がさまざまな文化芸術に親しみ、活動に参加することにより、地域に根ざした文化が創造できる環境の整備に努めてまいります。
2点目は、「文化遺産の保存と活用」であります。
文化財は、地域の遺産であり資産であることから、次の世代に継承し、新たな文化の創造や地域づくりに生かしていかなければなりません。
また、市民に文化財への理解を深めてもらうため、現在、公開している郷土の文化財を紹介するホームページの充実を図るとともに、先人が残した有形・無形の文化的遺産の保護と、その効果的な活用に努めてまいります。
第5は、「市民が親しめる生涯スポーツの振興と施設整備の推進」についてであります。
施策の1点目は、「生涯スポーツの振興」であります。
自らの健康と心の潤いを求めて、日常的に日本古来の武道やニュースポーツなど、さまざまなスポーツを楽しむ市民が年々増加しております。
こうしたことから、市民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、目的に応じて、スポーツに親しむことができるよう、生涯にわたるスポーツ振興体制の整備を図ってまいります。
2点目は、「スポーツ施設の機能整備」であります。
スポーツ施設は、市民のスポーツ活動の拠点として整備を図ってまいりましたが、施設機能を維持し、安全で快適に利用できるよう、青葉陸上競技場のトラック改修、スポーツセンターの床改修、学校プールの改修等、引き続き施設整備を推進いたします。




