はじめに

 今日の学校教育は、新時代を切り拓く担い手の育成を目指した、教育改革の渦中にあります。学校週5日制の導入、新学習指導要領の実施など、変化に対応し、ゆとりの中で、自ら学び自ら考える、いわゆる「生きる力」を育む教育に転換して3年目を迎えています。新しく導入された総合的な学習の時間は、自然や環境、福祉、国際理解などに対する児童生徒の興味・関心も深まり、地域と結びついた活動を取り入れるなど、新しい教育活動のあり方として定着してきております。

 一方、学習内容が大幅に削減されたことから、保護者からは、学力低下に対する不安感が顕在化しました。しかし、市内の小中学校においては、「確かな学力」の定着のため、ティーム・ティーチングや少人数による習熟度別指導を取り入れ、基礎・基本の修得に重点を置いた教育に力を注いでおりましたが、多くの学校で着実に成果を上げ、保護者からも高い評価を得ております。

 最近の児童生徒を取り巻く環境は、物質的な豊かさを享受している反面、生活環境は大きく変貌しています。その結果、家族関係や友人関係、地域との結びつきが希薄になり、一人遊びや携帯電話の普及などもあって、人とのコミュニケーション不足が指摘されております。
 また、基本的な生活規範意識が身に付いていない子も多く、少年犯罪が増加するとともに低年齢化、凶悪化の傾向が目立っており、深刻な児童虐待事件も跡を絶たないなど、憂慮すべき事態となっております。

 「教育の原点は家庭にある」ことを再認識し、家庭や地域社会と学校がより一層連携しながら、人とのふれあいを深め、児童生徒が豊かな心で、自らの生き方を見つめる教育を推し進めることが時代の求めでもあります。なかでも、人権教育に力を入れていく必要があると考えております。

 

 

教育推進の重点目標

平成16年度の千歳市教育行政の執行に当たりましては、今日までの教育成果を踏まえながら、

「千歳のまちに誇りを感じ、新時代を切り拓く豊かな教養と自立する力、思いやりの心をもった人間の育成」

を「教育推進の重点目標」に掲げ、本市の教育の充実・発展のため、諸施策を実施するとともに、教育環境の整備に力を注いでまいる所存であります。

 

 

学校教育の主な施策

学校教育の主な施策について、申し上げます。

第1は、「基礎学力の定着と開かれた学校の推進」であります。

 一人ひとりの才能を引き出し、それを最大限に発揮させることができる教育を推進していくためにも、これまで以上に学習の基礎・基本である「読み・書き・計算」の確実な定着と、学ぶ力の育成に努めてまいります。
 そのため、到達目標を明確にしながら少人数による習熟度別指導やティーム・ティーチング指導、選択履修教科の拡大など、個に応じたきめ細かな学習指導の充実を図るとともに、児童生徒が学ぶことの楽しさを通して、学習意欲の高揚に努めてまいります。

 小学校における英会話学習への講師派遣や、外国文化にふれる機会を設けるとともに、伝統的な日本文化を学ぶなど、国際理解教育をさらに充実してまいります。
 また、千歳科学技術大学の支援を得ながら、電子教材を活用した数学にも積極的に取り組むなど、情報教育を推進するとともに、サイエンス会議の充実を図ってまいります。
 特色ある教育活動の一環であります、グローカル・スクール活動事業は、各学校の創造性がさらに発揮され、発展的な取り組みとなるよう引き続き支援をしてまいります。
 また、子供の読書活動を活発にするために、学校図書館の充実を図り、市立図書館との連携を強めるとともに、図書ボランティアの協力を得ながら、読み聞かせ等の活動や学校図書館の地域開放に取り組んでまいります。

 地域に開かれた学校づくりにむけ、地域における自然や文化、人材など多くの教育的資源を活用した教育活動を進めるとともに、地域住民の学校行事への参加や、教職員・児童生徒の地域行事等への積極的な参加を促してまいります。
 また、学校から家庭や地域への情報提供に努めてまいります。
 さらに、多様なふれあいを通じて良好な人間関係を育成し、思いやりや社会性が身に付くよう異学年交流や学校間交流、異校種間交流も充実させてまいります。

第2は、「豊かな人間性を育む道徳教育の推進」であります。

 生活体験を多く取り入れたり、社会生活に繋がる題材を用いるなど、学習内容に工夫を凝らしながら、道徳的実践力を高める指導を進め、児童生徒の基本的な規範意識や倫理観、判断力、公共性などを育成するとともに、他者を理解し思いやる心を育てる道徳教育を推進してまいります。
 また、地域社会に住む一員として、児童生徒が持てる力・善意を提供するボランティア活動への積極的な参加を促すなど、社会との連携を強めながらコミュニケーションを深める力を養い、福祉教育や環境教育に取り組んでまいります。
 そして、児童生徒が、家族や地域の人々、仲間とも心がふれあう地域社会を形成するためにも、「挨拶運動」や「声かけ運動」を、なお一層広めてまいりたいと考えております。


 児童生徒の中には、集団に溶け込めず逃避傾向にある子や、いたずら等に充分対処できずに悩む子、また生育環境に悩む子など、さまざまな心の悩みや問題を抱えている子がいることから、教育相談や生徒指導については、学校組織として適切かつ迅速に取り組むとともに、スクールカウンセラーや心の教室相談員の活用を図りながら、いつでも気楽に相談できる体制を整えてまいります。
 また、さまざまな理由により、学校になじめず、不登校となった児童生徒には、多様な方法で接触するなど、適応指導教室「おあしす」の充実を図ってまいります。

 

第3は、「生命を尊ぶ健康教育の推進」であります。

 たくましい体力と強い意志を育むため、運動に親しむ機会を設けたり、体育行事の充実を図るなど、児童生徒の健全な心身を育てる教育に努めます。
 緊要の課題になっております喫煙や飲酒、性、薬物乱用などに対する正しい知識を身に付け、命の大切さや自らの健康に関心を持たせるための保健指導を、関係機関の協力を得て推進してまいります。
 また、家庭や地域、学校が連携して、児童生徒を交通事故や犯罪、震災などから身を守るための安全教育を充実させるとともに、防火・防犯訓練を実施してまいります。

 学校給食においては、おいしく、安全で安心して食べられるよう、衛生管理に万全を期すとともに、魅力ある献立作りや良質な食材の選定に努めてまいります。
 また、正しい食習慣を身につけることは、生活の基本であり、人格形成の上からも重要でありますことから、学校と連携し、家庭への啓蒙を行うとともに、栄養士による給食指導を実施してまいります。

 

第4は、「障害のある児童生徒の自立を促す教育の推進」であります。

 個々の障害に応じた教育、また専門性を生かした教育が十分に受けられるよう、教育環境の整備を図るとともに、新たに通学の利便性を考慮して、向陽台小学校に肢体不自由児学級を開設いたします。
 また、社会的な自立の基礎づくりの一環として、学校間交流をはじめ、学校内の交流学習を積極的に取り組み、地域の方々や多くの児童生徒とふれあい、一緒に学び合う楽しさを分かち合うなど、心のバリアフリーを目指してまいります。
 近年、特殊学級に重度重複の障害を持つ児童生徒が多く入級していることから、その解決に向けた取り組みを引き続き進めてまいります。

 

第5は、「学校の環境整備と教職員の研修の推進」であります。
 学校は、児童生徒が学習をはじめ生活する場であることから、快適な環境が維持できるよう、学校施設の改善・改修に努めてまいります。

 時代を担う児童生徒の「確かな学力」と、「豊かな心」を育むための新しい教育ニーズに応えるため、「個を生かす授業」や「心で授業」を構築できる「人間教師」の育成と、教職員の資質向上を図るために、公開授業や各種研修を積極的に実施してまいります。
 さらに、千歳市教育振興会など、自主的な研究組織への支援・助成を引き続き行うとともに、各種研修会・研究会への参加を奨励してまいります。
 

 

 

社会教育の主な施策

社会教育の主な施策について、申し上げます

 

第1は、「人間形成の基盤となる家庭教育の充実」であります。

 生活習慣、自立心、自制心、善悪の判断等の基本的な倫理観や社会的マナーを確立するための基盤は、幼・少年期において培われます。特に、幼・少年期の体験は、人格形成やその後の生き方に大きな影響を与えることから、学校、家庭、地域社会が一体となって、豊かな人間性を育む環境づくりを進めなければなりません。
 しかし、近年の核家族化、少子化等の影響で親の子育てへの不安や負担、放任、しつけ不足等が増大し、社会問題を引き起こす要因にもなっていることから、親が学習する機会や親の悩み・不安を除去する機会の充実・拡充が今日的な課題になっております。
 このため、子育てに関する悩みの解消等を図るために、子育て講座や家庭教育講演会等の家庭教育への支援策を引き続き展開してまいります。
 また、子育てに悩む親同士の問題・課題を共有し、ふれあいや仲間づくりを支援するための子育てサポーターの養成・登録にも努めてまいります。
 家庭教育を家庭だけに委ねることなく地域全体で支えるために、子供たちの多様な体験活動の機会を提供する「子ども放送局チャレンジ教室」や「子ども活動支援センター」における情報提供・相談機能の充実に努めてまいります。 

 

第2は、「市民の学習機会と社会参加への意欲を高める活動の充実」であります。

 市民が必要な学習活動やさまざまな体験活動を通じて、豊かで潤いのある生き生きとした生活を営むことができるよう、市民教養セミナーやIT講座等の成人一般教育、及び高星大学等の高齢者教育など、市民ニーズに対応した多様な学習機会の提供に努めてまいります。
 また、学習して得られた成果、あるいは独自に習得した知識・技能を生かし積極的に社会に関わりたいと願う市民が増えてきていることから、これら知識等が地域社会の自主的な活動に生かされるよう、支援してまいります。

 

第3は、「市民の主体的な活動を支える社会教育環境の充実」であります。
 市民の多様な学習ニーズ及び情報化社会に対応した各社会教育施設の機能や学習環境の充実に努めます。
 公民館においては市民ニーズに対応した公民館教室を開催いたします。市立図書館においては、新聞・郷土資料のデータベース化による情報提供の実現を図ってまいります。また、コンピュータシステム更新に合わせ、インターネットからの図書資料の借り受け予約の実現に努めてまいります。
 青年の家支笏湖青少年研修センターにおいては、野外活動や自然観察など地域素材を活用した教育プログラムを実施いたします。また、市民文化センターにおいては、優れた芸術文化にふれる機会の提供と市民自ら創造する文化活動や学習活動の支援に努めるとともに、国の補助事業により実施した「市民文化センターリニューアル調査」の結果を踏まえ、施設のバリアフリー化や設備の更新など、より機能性を高めるための改修について具体的な設計に着手いたします。
 さらに、財団法人千歳青少年教育財団が管理・運営する「千歳サケのふるさと館」の展示施設・内容を一層充実し、より多くの方々に足を運んでいただけるよう支援してまいります。

 

第4は、「多様な芸術文化の育成と文化財の保護・活用の推進」であります。

 社会は今、物の時代から心の時代へと動いています。それは人が豊かな人間性を求めている姿であります。この精神的要求に対応するためには、豊かな情操と創造力を育てることが重要となっています。
 このため、市民文化センターや市民ギャラリーを中心に市民が様々な芸術文化に親しみ、活動に参加し、創造力を高め、誰もが明日の芸術文化の担い手になれるよう、市民の自主的な事業企画の振興や創作・発表の機会の奨励に努めます。また、「千歳命名200年」を記念した事業の開催など、市民との協働・連携のもとに「千歳らしい」文化の創造に努めてまいります。
 また、文化財については、埋蔵文化財をはじめとする先人が残した文化遺産の積極的な保護と活用を図ってまいります。その一つとして、郷土の文化財を紹介するホームページを作成するなど、より多くの市民が地域の歴史や文化財への理解を深め、次の世代に継承し、そして新たな文化の創造や地域づくりに生かせるよう努めてまいります。

 

第5は、「市民が親しめる生涯スポーツの振興・充実」についてであります。
 余暇時間の増大と高齢化社会の進展による社会環境の変化に伴い、健康で活力ある生活を積極的に目指す人々が年々、増加しております。
 このようなことから、「市民皆スポーツ」を目標に、関係機関との連携・協力のもと、幼児から高齢者までさまざまな市民を対象にしたスポーツ教室・講習会・イベントを開催するとともに、学校施設の開放によるスポーツへの参加機会の充実に努めてまいります。
 さらに、スポーツ施設の維持・整備及び指導者の養成・確保により、誰もが気軽にスポーツを楽しむことのできる環境づくりを推進してまいります。