はじめに

 平成20年第1回定例市議会の開会にあたり、平成20年度の教育行政方針を述べさせていただきます。

 少子高齢化や核家族化の傾向はさらに進み、グローバル化や高度情報化の進展、産業・就業構造などの社会変化に伴い、子どもたちを取り巻く家庭生活や地域の状況などの環境も大きく変わり、将来の夢や希望に向かう自己実現の可能性が希薄になってきております。
 そうした中で、学力や学習意欲の低下傾向をはじめ、社会性や規範意識の欠如、家庭や地域の教育力の低下、いじめや不登校など、解決すべき課題が山積しております。

 この時にあって、学校教育の分野では、教育基本法などの改正をはじめ、教育再生会議での議論、学習指導要領の改訂など、教育改革が本格化しており、今、まさに学校教育の在り方が大きく変わろうとしております。

 このような現状を踏まえ、今こそ不易と流行を見極め、次代を担う子どもたちをより良い方向へ導いていく必要があると考えております。

 これまで、継続性と発展性を重視し、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」を育むための教育実践に努めてまいりましたが、本年度も一層、学校、家庭、地域社会が、それぞれの持つ役割と機能を発揮し、力を合わせて取り組んでいかなければなりません。

 生涯学習の分野では、私たちを取り巻く社会環境の変化に対応し、豊かで充実した生活を送るために、市民一人ひとりがいつでもどこでも自由に学習機会を選択し、自ら学んだ学習の成果を、地域づくりなどに活かすことのできる社会の実現が求められています。
 このため、市民が生涯にわたって学ぶ機会を充実し、学習成果を具現化することができる環境づくりを推進してまいります。

 また、生活のあらゆる機会を通じて行われる学習やスポーツ活動、文化芸術活動を、「人づくり」「まちづくり」「地域づくり」の観点で積極的に推進してまいります。

 平成20年度の教育行政の執行にあたりましては、これまで述べてまいりました基本的な考えに加え、「千歳市の教育を考える市民会議」からの提言内容を活かし、施策を実施してまいります。
  

教育推進の重点目標

 平成20年度の重点目標は、
 「地域とともに、新時代を切り拓く豊かな教養と生きる力、思いやりの心をもった人間の育成」といたします。
 
 平成20年度の教育行政の執行に当たりましては、これまでの教育成果を踏まえながら、本市の特性を活かした教育の推進を図るため、次の施策の実施に力を注いでまいります。

学校教育の主な施策

  学校教育の主な施策について申し上げます。

 まず第1は、「生きる力を育むための基礎となる学力の定着」であります。

 その1点目は、「基礎学力の定着」であります。
 子どもたちが社会に巣立ち、自らの目標に向かって、しっかりと生きていくためには、学習の基礎・基本となる「読む・書く・話す・計算する」ことをしっかりと身に付け、確かな学力を育むことが重要であります。
 そのため、「全国学力・学習状況調査」の結果などを踏まえ、少人数指導やティーム・ティーチングなど、個に応じたきめ細かな学習指導の充実を進め、家庭における自主的な学習習慣の重要性とその定着を、家庭や地域社会に対しても啓発してまいります。

 2点目は、「読書活動の推進」であります。
 家庭などにおける読書習慣の定着を進めるとともに、学校での読書活動を推進するため、学校図書の充実や市立図書館蔵書の活用など、学校図書館の充実を図ってまいります。

 第2は、「特色ある教育活動の推進」であります。

 その1点目は、「二学期制の実施」であります。
 二学期制につきましては、より弾力的で充実した学習活動や適正な評価・指導などの効果が大きいことから、本年度より全小中学校において実施いたします。

 2点目は、「総合的な学習の時間における教育活動の充実」であります。
 本市においては、総合的な学習の時間における特色ある教育活動を行うため、全小中学校で、地域の自然環境や人材などを活用し、環境や福祉、食生活、国際交流などの学習機会として「グローカルスクール活動事業」に取り組んできており、今後とも継続して支援してまいります。

 3点目は、「国際理解教育の推進」であります。
 本年2月に公表された、文部科学省の学習指導要領等の改訂案では、小学校の高学年において「外国語活動」を追加し、平成23年度から施行することとなっております。
 本市では、平成14年度から、小学校における英会話学習に取り組んできており、引き続き全小学校に地域の人材を活用した講師を派遣し、実践的学習の充実に努めてまいります。

 4点目は、「情報教育の推進」であります。
 授業や教科外の活動にコンピュータや情報ネットワークを積極的に活用するとともに、子どもたちの知識や技術の習得、モラルの向上に努め、情報教育の推進を図ってまいります。
 また、千歳科学技術大学と連携し進めております「e-ラーニング」や「e-カレッジ」につきましても、学校や家庭での積極的な活用と利用拡大に取り組んでまいります。

 5点目は、「学校、家庭、地域が連携した開かれた学校づくりの推進」であります。
 子どもたちを健やかに育むためには、学校、家庭、地域が互いに協力し合う関係を構築し、それぞれの役割を果たしていく必要があります。 
 このことから、家庭教育に関する学習機会を拡充しながら、学校評議員会などを活用し、保護者や地域の意向を学校経営に反映させていくとともに、学校評価の積極的な公開や学校施設の開放など、開かれた学校づくりの推進に努めてまいります。

 6点目は、「キャリア教育の推進」であります。
 子どもたちの生きる力を育むためには、一人ひとりの勤労観・職業観を育てることが重要であります。
 本市では、多くの企業などの協力を得て、中学生に実際の職業を体験させるキャリア教育を実施しており、社会人としての自覚や主体的な進路の決定などを促すうえで、大きな効果があると考えておりますので、今後も、各校の取り組みを奨励してまいります。

 7点目は、「ちとせっ子未来フォーラムの開催」であります。
 本年度は、市制施行50周年とジュニア・エイトサミットが開催される記念すべき年であり、子どもたちがサミットのテーマである「環境」について考える絶好の機会として、「ちとせっ子未来フォーラム」を開催いたします。
 このフォーラムが、児童生徒にとって社会全体、そして世界につながる自己を知る契機となり、思い出に残る記念事業となるよう進めてまいります。

 第3は、「豊かな人間性や社会性を育む道徳教育の充実」であります。

 その1点目は、「体験活動の推進」であります。
 子どもたちの健やかな成長を促すため、道徳の時間や総合的な学習の時間を活用し、日常における道徳性の指導を行うほか、ボランティア活動や自然体験、職業体験など、多くの体験学習プログラムを取り入れ、基本的な生活習慣や規範意識の定着、人間のモラルの育成など、道徳教育を充実してまいります。

 2点目は、「いじめ、不登校対策の充実」であります。
 いじめ問題については、自分や他人の命の尊さを児童生徒にしっかりと理解させるとともに、人を傷つけたり危害を加えたりすることは、人間として絶対許されないことを強く指導しながら、命の大切さと人を思いやる心の教育を充実してまいります。
 また、ストレスなどを和らげる身近な相談相手として、スクールカウンセラー及び心の教室相談員を増員し、学校と連携した教育相談支援体制の充実を図ってまいります。
 その他、「千歳市いじめ・不登校等対策会議」による情報交換や「なかよしさわやかDAYいじめシンポジウム」の開催など、児童生徒や保護者、教育関係者、市民とともにいじめ根絶に向けた啓発活動を行なってまいります。
 不登校の子どもには、適応指導教室「おあしす」を活用し、対応を図ってまいります。

 第4は、「健やかな心身を育む健康・安全教育の推進」であります。

 1点目は、「健康・安全教育の推進」であります。
 たくましく強い意思を培うためには、その土台となる健康な身体を育むことが重要であります。
 運動に親しむ機会や体育行事の充実など、子どもたちが心身共に健やかに育つ環境を整え、心と体のバランスがとれる活動を推進するとともに、喫煙や飲酒、薬物など、有害なことへの正しい知識を身につけさせるよう、保健指導に努めてまいります。

 また、犯罪などから児童生徒を守るため、学校における通学路の点検、安全マップの作成、防犯教室での指導を行うとともに、千歳っ子見守り隊や学校、地域、家庭と連携した安全対策の強化を図るほか、有害情報や有害環境への対応につきましても充実・強化に努めてまいります。
 不審者情報につきましては、市ホームページへの掲載に加え、携帯電話やパソコンの電子メールを活用し、希望する保護者などへ情報を提供するなど注意を喚起してまいります。

 2点目は、「健全な心身を育むための食育の推進」であります。
 子どもたちの生活は、就寝時間が遅くなったり、朝食をとらないなど食生活の乱れが指摘されております。
 食事を正しく取ることは健やかな体を育むだけではなく、規則正しい生活習慣を身に付ける意味でも大切なことであり、家庭や学校などにおける「早寝早起き朝ごはん」の励行を、引き続き推進してまいります。

 学校給食につきましては、食材の選定など衛生管理をこれまで以上に徹底し、食の安全を確保するとともに、子どもたちに「食」に対する正しい知識と望ましい食習慣を身につけさせるため、栄養教員を中心とした「食」に関する指導の充実を図ってまいります。

 第5は、「特別支援教育の充実」であります。

 その1点目は、「特別支援教育支援員の拡充」であります。
 通常学級に在籍している発達障害等を持った子どもたちを支援するため、特別支援教育支援員を現状の4名から12名に増員し、支援体制を充実するとともに、今後も各校の状況を把握しながら、特別支援教育支援員の拡充を図ってまいります。

 2点目は、「道立高等養護学校の誘致」であります。
 道立高等養護学校の誘致につきましては、昨年末に「千歳市への道立高等養護学校誘致期成会」が結成され、署名活動などが精力的に行われているところであります。
 今後も、北海道教育委員会の動向を把握しながら、誘致を実現するため、誘致期成会とともに強力に活動を展開してまいります。

 第6は、「信頼される教職員の育成と学校環境の整備」であります。

 1点目は、「信頼される教員の育成」であります。
 子どもたちをはじめ、保護者や地域から信頼される教員を育成するため、関係機関が開催する研修会への参加など、教員としての資質や能力の向上を促してまいります。

 2点目は、「学校間の連携」であります。
 子どもたちの発達段階に応じ、授業内容・指導方法の工夫や知識や技術の向上を図るためには、小学校と中学校の交流など市内外の学校をはじめ、幼稚園や高等学校、特別支援学校などとの交流を通じ、情報交換や連携を図っていくことが重要であり、各学校や校種間の連携を促進してまいります。

 3点目は、「快適で安全な学校環境の整備」であります。
 子どもたちの快適で安全な学習環境を維持するため、日の出小学校及び信濃小学校で耐震化工事を実施するほか、北斗中学校などで大規模改修を行うなど、計画的な施設の改善・改修に努めてまいります。
 また、富丘中学校の生徒数増加による校舎の狭隘化に対応するため、富丘中学校の分離校建設に向け、富丘中学校分離校基本構想を策定し、平成24年4月の開校に向け準備を進めてまいります。
 さらに、化学物質などによる児童生徒の健康への影響などに適切に対応するため、対応マニュアルを作成するなど、児童生徒の健康に配慮した環境づくりに努めてまいります。

 第7は、「教育機会の拡充」であります。

 幼稚園早期入園特区により、2歳児が年度当初から入園することが可能となっておりますが、この特例が平成19年度末をもって廃止され、新たに「幼稚園を活用した2歳児の受け入れ」が実施されることから、引き続き2歳児の受け入れを支援してまいります。
 また、奨学金につきましても、支給枠を拡大するとともに、支給対象に専門学校生を加えるなど、奨学金の交付対象者の拡大に努めてきたところであり、引き続き、幼児教育並びに修学支援の充実に努めてまいります。
 

生涯学習の主な施策

  次に、生涯学習の主な施策について申し上げます。

 第1は、「市民活動交流センター〝ミナクール〟の運営推進」であります。

 市民活動交流センター「ミナクール」において、市民の自主的な活動や交流を推進するため、市民活動団体による運営へ移行することで、市民の発想、企画力を活かした取り組みを行い、NPO、人材などの活動情報の提供機能を充実させるほか、市民活動に関する学習会や交流会を開催するなど、学習機会を積極的に提供してまいります。

 第2は、「ひと・まちづくりリーダーの養成」であります。

 活力あるまちづくりを推進するためには、市民活動の中心となる人材の育成が重要であります。
 そのため、まちづくりのきっかけとなる活動に、容易に参加できる機会を提供することなどにより、市民力を高め、地域等がもつ力を活性化するため、引き続き「ひと・まちづくり」リーダーの養成を行ってまいります。

 第3は、「豊かな心と生きる力を育む家庭教育・青少年教育の充実」であります。

 その1点目は、「家庭教育に関する学習機会の充実」であります。
 子どもが豊かな心や生きる力を育むためには、親が子どもの教育に対する責任や役割についての認識をもつことが何よりも大切であります。
 そのため、家庭教育や子育て支援に関わる機関・団体と連携し、乳幼児期や思春期などの子どもの発達段階に応じた親の学習機会や父親としての役割など、子育ての意義と方法に関する学習機会の充実に努めてまいります。

 2点目は、「地域の教育力向上」であります。
 親や地域住民による子育て支援活動を活性化するため、市民の誰もが地域における子育てについての関心を持ち、子どもたちが、地域を中心としたボランティア活動や異世代交流などを通じた交流体験学習の機会を充実させることが大切であります。
 そのため、学校や地域団体などとの情報共有や協力体制を強化し、地域の人々による地域の特性を活かした地域の教育力向上に努めてまいります。

 また、放課後子どもプランにつきましては、総合的な放課後対策として、平成21年度のモデル校設置を目指し、事業プログラム等の検討、地域住民との連携、人材確保などに努めてまいります。

 第4は、「市民が学びあえる環境づくりの推進」であります。

 各社会教育施設においては、施設の機能や特色を活かしながら、多様化する市民の学習ニーズを的確に把握し、効果的な学習活動が行える環境の整備に努めてまいります。

 市立図書館においては、移動図書館車「ブッくん」を更新し、積載図書数を増加するほか、車椅子での利用を可能とするなど、更なる機能性の向上を図ってまいります。
 市民文化センターにおいては、文化団体・サークルの創作発表活動を積極的に支援するとともに、自主文化事業により優れた芸術文化の鑑賞機会の充実に努めてまいります。
 千歳公民館につきましては、本年度から指定管理者による管理運営となり、民間活力導入により、新たな市民サービスが図られるよう期待をしております。

 サケのふるさと館については、事業採算性を重視した施設として、水族館事業の経営改善の可能性や施設の複合化の検討、運営手法等の経営戦略立案などを行い、今後の運営策について検討してまいります。

 第5は、「個性豊かな芸術文化の創造と文化財の保護と活用の推進」であります。

 その1点目は、「地域に根ざした芸術文化の創造」であります。
 市民が地域を愛し文化に誇りをもち、地域全体の文化環境を高めていくためには、ジャンルを超えた広域的な交流と、地域活動の担い手の発掘と育成、そして活用が必要であります。
 このことから、芸術文化活動に触れ親しむ機会の充実や、文化団体などと連携した芸術文化活動の促進に努めてまいります。

 2点目は、「郷土の豊かな個性とふれあえる文化財の整備」であります。
 文化財は、ふるさとに根付き、永い歳月を重ね、培われてきた郷土の豊かな個性であり、郷土を知るための大切な財産であります。
 埋蔵文化財センターについては、旧長都小中学校跡へ移転することにより、新たに文化財の展示や体験学習など市民が文化財にふれあえる機能を加えた施設として整備を進め、平成22年度の供用開始を目指し、実施設計及び一部改修工事を実施してまいります。

 第6は、「市民が親しめる生涯スポーツの振興と施設整備の推進」であります。

 「市民皆スポーツ」の観点に立ち、幼児から高齢者までの市民を対象としたスポーツ教室・イベントの開催や、学校施設の開放によりスポーツに参加する機会の充実に努めてまいります。
 また、市制施行50周年記念事業として、宝くじスポーツフェア「はつらつママさんバレーボール」を開催し、オリンピックメダリストの技術指導や親善試合などを予定しております。
 その他、各種スポーツ大会への支援や、出前講座等への指導者の派遣などを通じ、地域スポーツクラブや団体活動への支援に努めてまいります。
 スポーツ施設の整備については、青葉球場や青葉水泳プールの改修など、安全で、快適な施設づくりに取り組んでまいります。