平成19年度教育行政方針
はじめに
平成19年第2回定例市議会の開会にあたり、平成19年度の教育行政方針を述べさせていただきます。
少子高齢化や核家族化の進行、さらに産業・就業構造などの社会の変化に伴い、子どもたちをめぐる環境も大きく変わり、将来の夢や希望が持ちにくくなってきております。
また、学力や学習意欲の低下傾向をはじめ、社会性や規範意識の欠如、家庭や地域の教育力の問題、いじめや不登校など、解決すべき課題が山積しております。
学校教育の分野におきましては、教育基本法の改正をはじめ、教育改革の論議が本格化してきており、今、まさに学校教育の在り方が大きく変わろうとしております。
このような時こそ、不易と流行を見極め、次代を担う子どもたちをより良い方向へ導いていく必要があると考えております。
これまで、継続性と発展性を重要視し、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」を育むための教育実践に努めてまいりましたが、今後も、学校、家庭、地域社会が、それぞれの持つ役割と機能を発揮し、力を合わせて取り組んでいかなければなりません。
生涯学習の分野では、私たちを取り巻く社会環境の変化に対応するために、市民一人ひとりが、いつでも自由に学習機会を選択し、自ら学んだ学習の成果を人づくりや地域づくりに活かせる社会の実現が求められております。
このため、学習成果を身につけた人々が、様々な市民活動に参加し、地域社会の課題解決や活性化への力強い原動力となることが必要であります。
このことから、市民活動の拠点として千歳市民活動交流センター「ミナクール」の積極的な活用を図りながら、市民自らが学習成果をまちづくりに活かすことができる仕組みや体制を整えてまいります。
社会教育の分野では、生活のあらゆる機会を通じて行われる、学習やスポーツ活動、文化芸術活動を、「ひとづくり」、「まちづくり」、「地域づくり」の観点で積極的に推進してまいります。
平成19年度の教育行政の執行にあたりましては、これまで述べてまいりました基本的な考えに加え、本年2月に「千歳市の教育を考える市民会議」から本市の今後の教育の方向性についての提言をいただいており、その提言内容を尊重しながら、具現化を図ってまいります。
教育推進の重点目標
平成19年度の重点目標は、
「地域とともに、新時代を切り拓く豊かな教養と自立する力、思いやりの心をもった人間の育成」といたします。
平成19年度の教育行政の執行に当たりましては、これまでの教育成果を踏まえながら、本市の特性を活かした教育の推進を図るため、諸施策の実施に力を注いでまいります。
学校教育の主な施策
学校教育の主な施策について申し上げます。
施策の第1は、「学ぶ意欲の向上と特色ある教育活動の推進」であります。
その1点目は、「基礎学力の定着」であります。
子どもたちが社会に巣立ち、たくましく生きていくためには、一人ひとりの才能を最大限に発揮できる力を育む必要があります。
そのためには、学習の基礎・基本である「読み・書き・計算」をしっかりと身に付けさせることが重要であり、「確かな学力」を育みながら個性を伸ばすための少人数指導の展開や、ティーム・ティーチングなどによる個に応じたきめ細かな学習指導の充実を図るとともに、自主的な学習習慣を定着させるため、家庭への啓発に努めてまいります。
2点目は、「特色ある教育活動の推進」であります。
特色ある教育活動として、全小中学校で取り組んでおります「グローカルスクール活動事業」は、子どもたちが社会体験などを通して、教科以外のテーマを多角的に研究し学ぶ活動として定着しており、今後も継続して実施してまいります。
また、「サイエンス会議」は、子どもたちのプレゼンテーション能力の開発や学習成果を披露する場として定着してきており、今後も千歳科学技術大学と連携しながら、継続して開催してまいります。
3点目は、「国際理解教育の推進」であります。
小学校における英会話学習につきましては、引き続き全小学校に講師を派遣し、子どもたちが英語を通じて外国文化に触れる機会を設けるとともに、自然に語学力を身につけるよう、指導方法などを研究しながら実践的学習の充実に努めてまいります。
また、小学校での英語必修化を視野に入れ、教員に対する実践的な研修の機会を増やすなど、英語指導力の向上に努めてまいります。
4点目は、「情報教育の推進」であります。
情報教育につきましては、授業や教科外の活動に、コンピュータや情報ネットワークを積極的に活用するとともに、子どもたちの情報ネットワークを利用する知識の習得やモラルの向上に努めてまいります。
「e-ラーニング」につきましては、千歳科学技術大学との連携のもと、学校での積極的な活用と教材の充実に努めるとともに、家庭学習での利用拡大にも取り組んでまいります。
また、各学校の教育用コンピュータ機器類につきましては、老朽化への対応と機能の向上を図るため計画的に更新を実施してきており、今年度も引き続き更新を行うとともに、児童生徒の個人情報保護のため、各学校に教務事務用コンピュータを配置してまいります。
5点目は、「家庭、地域と共に歩む、開かれた学校の推進」であります。
学校は、子どもたちの多様な能力や可能性をのばし、知識を吸収する場所であります。
家庭は、子どもたちの規範意識や社会ルールを身につける場所であり、地域は、学校や家庭で培った知識、能力を発揮させる場所であります。
子どもたちを健やかに育むためには、この三者が常に協力し合う関係を構築し、それぞれの役割を果たしていく必要があります。
これらのことから、家庭教育に関する学習機会を拡充しながら、地域の人材を積極的に活用したり学校評議員へ登用するなど、保護者や地域住民の意向を学校経営に反映するとともに、学校施設の開放など、開かれた学校の推進に努めてまいります。
6点目は、「二学期制の推進」であります。
本市におきましては、平成18年度から千歳第二小学校、東千歳中学校の2校で二学期制の試行を実施しております。
平成19年度は、さらに青葉中学校において試行することとしており、それらの試行結果を踏まえ、平成20年度からの全小中学校での導入を目指してまいります。
施策の第2は、「命の尊さ、人を思いやる心を育む道徳教育の推進」であります。
その1点目は、「体験を活かした道徳教育の推進」であります。
子どもたちは、いろいろな人との出会いや別れ、成功や失敗を繰り返しながら、その時の喜びや悲しみを通じて、人を思いやる心、命を大切にする心、我慢する心などを育んでいきます。
子どもたちの豊かな心を育むためには、家庭や地域、学校において、さまざまな体験を積み重ねていくことが重要であります。
そのため、日常における道徳指導のほか、ボランティア活動などの体験学習を積極的に取り入れた、心に響く道徳教育の推進に努めてまいります。
2点目は、「いじめ、不登校対策の充実」であります。
いじめ問題に対する取り組みといたしましては、児童生徒に人を思いやる心や命の大切さをしっかりと理解させるとともに、学校内では、いつでもどこでもいじめは起こりうるという危機意識を持ち、学校内の指導体制及び教育委員会と学校との連絡体制を充実してまいります。
いじめの早期発見には、児童生徒が学校内で日常的に、何でも相談できる体制づくりが重要であり、スクールカウンセラーや心の教室相談員の増員など、教育相談支援体制の充実を図ってまいります。
また、学校や関係機関が密接に連携するため「千歳市いじめ・不登校等対策会議」を開催し情報交換を行うとともに、児童生徒や保護者、教育関係者、市民などの参加による「なかよしさわやか
DAY・いじめシンポジウム」を開催し、いじめ防止の啓発を行ってまいります。
不登校の子どもには、適応指導教室「おあしす」を活用し、対応を図ってまいります。
施策の第3は、「健やかな心身を育む健康・安全教育の推進」であります。
その1点目は、「健康・安全教育の推進」であります。
たくましく強い意思を培うためには、その土台となる健康な体を育むことが重要であります。
運動に親しむ機会や体育行事の充実など、子どもたちが心身共に健やかに育つ環境を整えるとともに、心と体のバランスがとれる活動を推進してまいります。
また、喫煙や飲酒、薬物など、子どもたちにとって有害なことへの正しい知識を身につけさせるよう、保健指導を充実させてまいります。
昨年春に結成いたしました「千歳っ子見守り隊」は、登下校時における犯罪の未然防止とあわせ、学校、地域、家庭の連帯感の醸成に成果を上げております。
今後も、活動の活発化に向け定期的に研修会を開催するなど、登下校時の安全対策の強化を図ってまいります。
また、学校における取組みといたしましては、安全マップの作成や防犯教室の開催など、子どもたちへの指導の充実を図るとともに、関係機関・団体と連携を強化し、青少年の健全育成に努めてまいります。
2点目は、「健全な心身を育むための食育の推進」であります。
子どもたちの生活は、就寝時間が遅くなり、朝食をとらないなど食生活の乱れが指摘されております。
食事を正しく取ることは健やかな体を育むだけではなく、規則正しい生活習慣を身につける意味でも大切なことであり、家庭や学校などにおいて「早寝早起き朝ごはん」の励行に取り組むことが必要であります。
学校給食におきましては、食材の選定や献立の工夫、衛生管理の徹底に努めるとともに、子どもたちに「食」に対する正しい認識と望ましい食習慣を身につけさせるため、栄養教諭による食に関する指導の充実を図ってまいります。
また、学校給食制度を維持していくためには、学校給食費の未納問題は大きな課題であります。
そのため、各学校での取り組み強化を指導するとともに、学校と学校給食センターとの情報の共有と連携を図り、収納率の向上に努めてまいります。
施策の第4は、「障がいに応じた就学指導と特別支援教育の充実」であります。
その1点目は、「障がいに応じた就学指導と交流学習の充実」であります。
北進小中学校を核として、障がいの程度や種類に応じた就学指導の充実を図るとともに、特別支援学級と通常学級の交流学習や体験学習などを積極的に取り入れてまいります。
2点目は、「特別支援教育の充実」であります。
本年4月の学校教育法などの改正に伴い、特別な支援を必要とする学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、高機能自閉症などの障がいのある子どもたちが在籍する、すべての学校において、特別支援教育が実施されることとなっております。
本市におきましては、すでに平成15年度から北進小中学校を核とした支援体制を構築してきており、さらにその取り組みの充実を図るため、専門家チームによる巡回相談や、教員の資質向上のための研修会を開催してまいります。
また、通常学級に在籍する障がいを持った児童生徒に対し、学校生活の介助や学習活動の支援などが行えるよう、必要とする学校に特別支援教育支援員を配置してまいります。
これまで要望してまいりました「養護学校」の設置につきましては、様々な障がい種別に対応できる体制を備えた「特別支援学校」に転換されることとなっており、引き続き北海道教育委員会に対し要望してまいります。
施策の第5は、「信頼される教職員の育成と学校環境の整備」であります。
その1点目は、「信頼される教員の育成」であります。
生きる力や学力など、学校教育に求められていることは、めまぐるしい速さで変化してきております。
教職員は、今何が求められ、何をしなければならないかを認識し、教職員一人ひとりが自覚を持ち、その資質を向上させていかなければなりません。
そのためにも、今後とも、関係機関が開催する各種研修会への積極的な参加を促すとともに、自主研修や自己研さんを奨励してまいります。
2点目は、「学校評価の推進」であります。
社会の変化とともに、教育ニーズも多種多様な内容になってきております。
学校評価は、教育の質を保証するとともに、これらニーズの把握や、自らの学校運営の意識を改革するうえで重要な役割を果たすものであります。
このようなことから、学校としての説明責任、透明性を確保するため、自己評価や外部評価の積極的な取り組みを推進してまいります。
3点目は、「学校の安全管理体制の充実」であります。
学校における予期せぬ災害や犯罪に対して、子どもたちや教職員が速やかに対処できる能力と知識を習得するため、防災教育や各学校での安全管理マニュアルに基づく訓練の実施に努めてまいります。
4点目は、「快適で安全な学校環境の整備」であります。
子どもたちの快適で安全な学習環境を維持するため、高台小学校及び青葉中学校で耐震化工事を実施するほか、耐震補強の実施設計や耐震診断、大規模改修を実施するなど、計画的な施設の改善・改修に努めてまいります。
また、児童生徒数の増加に伴い、北陽小学校では校舎の増築を、富丘中学校では、分離校建設までの暫定的措置として、プレハブ校舎を建設し、学習環境の改善を図ってまいります。
施策の第6は、「教育機会の拡充」であります。
幼稚園早期入園特区の認定により、平成18年度から2歳の幼児が年度当初から入園することが可能となっており、この特例が有効に活用されてきております。
また、奨学金の給付につきましても、支給枠を拡大するとともに、支給対象に専門学校生を加えるなど、奨学金の交付対象者の拡大に努めてきたところであります。
本年度も引き続き、幼児教育並びに修学支援の充実に努めてまいります。
生涯学習の主な施策
次に、生涯学習の主な施策について申し上げます。
施策の第1は、「市民活動交流センター〝ミナクール〟の運営推進」であります。
市民の自主的な活動や交流を推進するため、昨年8月にオープンいたしました市民活動交流センター「ミナクール」において、
NPO、人材、各種活動の情報提供機能を充実させるほか、市民活動に関する学習会、交流会を開催するなど、学習機会を積極的に提供してまいります。
施策の第2は、「ひと・まちづくりリーダーの養成」であります。
活力あるまちづくりを推進するためには、市民活動の中心となる人材の育成が重要であることから、市民が自ら企画する「人づくり、まちづくり」につながる事業のほか、ひと・まちづくりリーダーを養成する「ひとまち工房」を積極的に支援してまいります。
社会教育の主な施策
次に、社会教育の主な施策について申し上げます。
施策の第1は、「豊かな心と生きる力を育む家庭教育・青少年教育の充実」であります。
その1点目は、「家庭教育に関する学習機会の充実」であります。
子どもたちが心身ともに豊かに成長していくためには、保護者が子どもの教育に対する責任や役割についての認識を持ち、子どものしつけに必要な幅広い知識と技術を身につけ、子育てを実践していくことが大切であります。
このため、学校をはじめ、家庭教育や子育て支援に関わる機関・団体との連携を進め、親の自覚と教育力を高めるため、子どもの成長に応じた子育て講座や男性を対象とした家庭教育講座の開催など、学習機会の充実に努めてまいります。
2点目は、「地域の特色を生かした体験活動の充実」であります。
子どもたちが郷土への愛着を持ち、思いやりの心や道徳観、倫理観などの規範意識を身につけるためには、地域の大人と関わりながら、郷土の歴史や文化、自然などとのふれあいを重ねていくことが大切であります。
このことから、地域の特色を生かした異世代交流や体験学習の機会を充実させるとともに、子どもの地域活動に関わる学校や地域団体などとの情報交流や協力体制を強化してまいります。
また、国において創設されました「放課後子どもプラン」の導入に向けた調査検討を実施してまいります。
施策の第2は、「市民の学習機会の充実」であります。
市民が自主的な学習活動により市民力を高め、地域の課題解決に活かすことのできる学習機会の充実に努めてまいります。
施策の第3は、「市民が学びあえる環境づくりの推進」であります。
市立図書館及び市民文化センターにつきましては、平成19年度から指定管理者による施設運営となり、民間活力を導入することにより、新たな市民サービスが図られるものと期待しております。
また、各社会教育施設におきましても、施設機能や特色を活かしながら、充実した学習活動が行える環境の整備に努めてまいります。
施策の第4は、「個性豊かな芸術文化の創造、文化財の保護と活用の推進」であります。
その1点目は、「地域に根ざした芸術文化の創造」であります。
市民が地域を愛し文化に誇りをもち、地域全体の文化環境を高めていくためには、ジャンルを超えた広域的な交流と、地域活動の担い手の発掘と育成、活用が必要であります。
このことから、芸術文化活動に触れ親しむ機会の充実や情報ネットワークの構築を図るとともに、文化団体などと連携した芸術文化活動の促進に努めてまいります。
2点目は、「郷土の豊かな個性とふれあいができる文化財の整備」についてであります。
文化財は、数万年に及ぶ長い時間の中で、千歳という地域に培われてきた豊かな個性といえます。
このことから、文化財の保護と活用を推進し、市民自らが郷土の歴史や文化を学ぶことのできる環境づくりに努めてまいります。
また、埋蔵文化財センターにつきましては、旧長都小中学校跡へ移転することとしており、本年度は、文化財の展示や体験学習機能を加えるなどの具体的な整備内容を検討してまいります。
施策の第5は、「活力ある地域の形成と生涯にわたって豊かな生活を営むことのできる生涯スポーツの推進」についてであります。
スポーツは、健康づくりに欠かせないものであるとともに、仲間づくりや青少年の心身の健全育成、高齢者や障がいのある人たちの社会参加を図るための手段として、大きな効果が期待されております。
また、市民が健やかで活力のある生活を送るためには、市民が、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しめる環境づくりが大切であります。
今後も、生涯スポーツに親しむ市民の育成や生涯スポーツ社会の実現に努めるとともに、力量や体力、年齢に合わせて楽しめるニュースポーツを取り入れるなど、生涯スポーツの推進に努めてまいります。
また、市民球場の観覧席の大規模補修・場外飛球防止対策をはじめ、信濃水泳プールの改修、青葉少年野球場の土入替え工事など、スポーツ施設の機能充実に努めてまいります。
登録日: 2007年6月5日 / 更新日: 2010年3月4日




